PJR-QESV 実践の型は必要なものだけ作り、不要と判断した結果を宣言に残す
1. 背景
どの成果物にどの実践の型(rulebook / recipe / sample / template)を作るかの基準が存在せず、整合性を担保できない。各 authoring standard は既に作ると決めたものの書き方しか定めておらず、kata-guide と practice-system-composition-guide は役割と使い分けを説明するだけである。結果として recipe だけが 84 種別中 19 件という分布になり、その理由が記録されていない。作らない判断と未整備の区別も付かないため、棚卸しのたびに同じ議論が繰り返される。
2. 検討した選択肢
| 選択肢 | 内容 | 利点 | 懸念 |
|---|---|---|---|
| A | 全成果物へ4種すべてを、薄くてもよいので作る | approach が常に fully-guided になり分岐が消える。宣言と実在の食い違いも起きない | rulebook-authoring-standard の「薄いドキュメント防止」と衝突する。中身の無い型は agent に「基準がある」と誤認させ、推測で埋める動機を与える。84 種別 × 4 の維持コストと、schema との二重管理も生じる |
| B | 判断を伝える必要があるものだけ作り、作らない判断を宣言へ残す | 実態(recipe 19件)と整合する。整備状況に応じた approach 分岐という既存設計とも合う | 基準を明文化しないと運用できない。宣言の仕組みと棚卸しが必要になる |
| C | 現状維持(基準を定めない) | 追加作業が無い | 何を作るべきかを人も agent も判断できず、未整備と不要の区別も付かない |
3. 決定内容
選択肢 B を採択する。実践の型は必要なものだけ作り、作らないと判断した結果を成果物カタログの宣言へ残す。
作成条件は次のとおりとする。
- rulebook: 構造・必須項目・禁止事項のうち、schema だけでは伝わらない判断がある場合に作る。構造が schema で完全に規定され判断の余地が無い場合は作らない。
- recipe: 規約を満たすだけでは品質が担保できない成果物に作る。判定の目安は、書き手によって出来に差が出る、浅い内容になりやすく深掘りの観点が要る、レビューで繰り返し同じ指摘が出る、のいずれかに当てはまること。規約と schema を満たせば内容がほぼ一意に決まる場合は作らない。
- sample: 完成形を見ないと粒度・文体・表の書き方が伝わらない場合に作る。template の穴埋めで完成形が想像できる場合は作らない。
- template: 定型の骨組みがあり毎回同じ章立てから始める場合に作る。構成が対象ごとに変わり固定の雛形が制約になる場合は作らない。
作らないと判断した場合は、成果物カタログの宣言へ not-needed として記録する。未整備(いずれ作る)と不要(作らないと決めた)を区別できる状態を保つ。
not-needed は approach の判定において「意図的に無い」として扱い、欠落とみなさない。対応する *-maintenance のフェーズは生成しない。bootstrap は「4種すべてを揃える」ではなく「必要と判断した型を揃える」と解釈し、どの型を作るかの判断を初期整備の作業に含める。新しい approach は追加しない。
4. 採択理由
rulebook-authoring-standardは「薄いドキュメント防止」として、各必須章に3つ以上の具体項目と判断可能な条件を要求している。薄い型を全成果物へ作る方針は、この規約と両立しない。ryu-guideは既に「実践の型の整備状況」で approach を分岐させ、「基準にできる実践の型が無くても、初期整備の対象でなければfreeform」と定めている。揃わない前提が設計に組み込まれており、全数整備はこの設計と矛盾する。- 中身の無い型があると agent は
fully-guidedを選び、基準が無いまま推測で内容を埋める。型が無ければfreeformを選び、カタログのdone_criteriaや schema を根拠にする正しい行動を取る。判断を助けるのは「常に何かある」ことではなく「無いと分かる」ことである。 - 構造は JSON Schema が正本であり、薄い rulebook は二重管理を生む。実際に
dct-planning.yamlが存在しないspecdojo:tml-rulebookを宣言し、fully-guidedが成立しない状態が発生した。 - recipe は順序ではなく品質の型である。標準の章構成は
各章の書き方、深掘り手順、良い例 / 悪い例、レビュー観点であり、書き手の判断が品質を左右する成果物にこそ価値がある。既存 19 件がprj-*とpm-*に集中している実態とも一致する。 - 未整備と不要を区別できないと、棚卸しのたびに同じ判断をやり直すことになる。判断結果を宣言として残すことで、再検討の対象を絞れる。
5. 承認
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 決定者 | PO |
| 決定日 | 2026-08-23 |
| 承認方式 | commit |
| 証跡 | 本個票を追加した commit(docs(register): add PJR-QESV) |
- 承認方式は
commitまたはPRを記載する。PRの場合は証跡に PR URL と merge SHA を本文テキストで記載する。 - 不可逆・高リスク・framework schema 破壊的変更に該当する決定は
PR方式で承認する。
6. 影響範囲とフォローアップ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 影響範囲 | 成果物カタログの宣言、strategy 生成の phase 選択、ryu-guide の approach 定義、既存の実践の型 325 件(rulebook 106・recipe 19・sample 107・template 93)の位置づけ |
| 必要な対応 | カタログ schema への not-needed 宣言の追加、*-maintenance の生成抑止、bootstrap と freeform の記述更新、既存分の棚卸し |
| 追跡先 | 実装と棚卸しは PJR-K4TA で追跡する |
7. 関連ドキュメント
- 実践の型の役割: 実践の型活用ガイド
- approach の分岐: 実践の進め方ガイド
- 薄いドキュメント防止: rulebook作成標準
- 体系の位置づけ: 実践体系構成ガイド
- 不整合が顕在化した宣言:
docs/ja/projects/prj-0001/010-deliverables-catalog/dct-planning.yaml